収穫は、3回に分けています。1~2回目は部分的に収穫し、3回目はより熟した葡萄を収穫します。こうして収穫時期をずらし、全てをブレンドすることで、フレッシュかつコクのあるワインに仕上げます。破砕せずプレスした後、フリーランジュースのみ使い、タンクに入れて48時間落ち着かせます。樽(新~2年樽)に、2~5%バリック型ステンレスタンク、さらに2%アンフォラも使用して発酵させます。発酵が終わった段階でテイスティングをし、良い樽の物だけを使用します(だいたい2~3樽はNG)。熟成も同じものを使用し、4~5ヶ月行います。マロラクティック発酵はさせません。樽発酵は酸素を取り入れる点からとても良い効果がありますが、バリックの香りが強くなりすぎないように、その大きさや形なども重要になります。大きさとしては、発酵にはバリックが適していると考えています。バリック型ステンレスタンクは、バトナージュを効果的に行え、木の風味が付かず、空気交換もないのでフレッシュさが保てます。また、空気の交換はするが木の香りの付かないアンフォラを導入し試しています。以前、ロバート パーカー Jr.が試飲した際に、「樽を使ってない」と言ったので、「90~100%使っている」と教えたそうです。華やかな甘いプラムやピーチのアロマとほんのりスパイスの風味があります。口当たりはまろやかで、かすかに樽の風味が感じられます。「私はこの白を愛している」とシリルは話していました。
コスティエール ド ニーム ブラン キュヴェ エクセレンス 2021 マス デ ブレサド【白】品種:ルーサンヌ70%、ヴィオニエ30% 新樽60%、1年樽40%
「Mas」は、プロヴァンスの方言で、ドメーヌを意味します。高祖父アンリはパスツールの友人で、うどん粉病に対する亜硫酸塩による治療法を発見しました。祖父アンリはボルドーでワイン造りに携わっていたという家系です。また父ロジェは、まさにパイオニア的存在で、この地に初めてカベルネ ソーヴィニヨンを植えたり、樽熟成の白ワインを造ったりしました。シリル マレスは引き継ぐ前に、モンペリエで栽培や醸造学を勉強し、カリフォルニアやチリにも修行に行きました。畑の土壌は、第四期時代のローヌ特有の小石が5~10mの深さまであり、まるでシャトーヌフ デュ パプの畑のようです。また、ミストラルも吹き、行政的にはラングドックに位置していますが、「ローヌワインとしてとらえて欲しい」と考えています。ミストラルは、害虫を避け、雨が降っても葡萄を乾かし、湿気から守る、「最大の友」です。各畑別、葡萄品種別で、それぞれのポテンシャルを大切にしたワインを造っています。醸造については父親のロジェ マレスが確立し、シリル マレスの代になりさらに品質が向上しました。世界的な評価も高まり、地元でも人気の高いこのドメーヌのワインには、常に生産量を超えた予約が入るほどです。しかしシリル マレスは品質にもまだまだ満足することなく、さらにその上を目指すべく日々努力を続けています。非常にバイタリティ溢れるシリル マレスの造るワインは、さらに品質向上を続けることでしょう。<評価>ヒュー ジョンソン「ポケット ワイン ブック2019」で、最高の生産者として掲載。
稲葉