アブルッツォ北部、テーラモ県のノタレスコにあるカンタルーポの畑は丘陵地で日当たり、水はけが良く、葡萄栽培に最適の場所です。収穫は9月の第3週に行います。畑で選別しながら手摘みで収穫します。葡萄が傷つかないよう5kgの小ケースに入れセラーに運び、品質の高い葡萄のみを選別します。その後、温度と湿度をコントロールできる乾燥庫(フルッタイオ)で葡萄をアパッシメントさせます。アパッシメントの過程で状況に合わせて湿度や温度を調整します。アパッシメントは通常120日間行います。この間、葡萄の水分が徐々に失われ、全体の40%の水分が無くなります。自然乾燥による独自のフルーツのアロマが出てきます。その後、やわらかく圧搾し、ステンレスタンクで25~30度にコントロールしながら6ヶ月間発酵、醸しを行います。その後、アメリカンオーク樽に移し、18ヶ月熟成させます。紫がかった濃いルビーレッド、干し葡萄やブラックベリー、サワーチェリーの熟した果実のアロマに加え、シナモンやダークチョコレート、かすかにバニラのニュアンスが感じられます。口に含むと熟したカシスの豊かなフレイバー、さらにスパイシーなタバコ、エスプレッソの要素が混ざります。べルべットのようにしなやかなタンニンと心地よい酸が素晴らしいバランスを保ち、非常にリッチで厚みのあるワインです。長い余韻には樽熟成による心地よいトーストのニュアンスが広がります。
スリー ドリーマーズ ファルネーゼ【赤】Gv:モンテプルチャーノ 最高のブドウを120日間陰干しし凝縮された高濃度ワイン ワインガイド「ルカ・マローニ」99点
3人の情熱からスタートしたワイナリー
ファンティーニ(当時はファルネーゼ)創立者のひとりカミッロ デ ユリウスは、若くしてイギリスに渡り3軒のレストランを経営、ワインの輸入もしていました。イギリスで成功を収めたカミッロですが、「いつかアブルッツォへ戻り、生まれ故郷に貢献できたら」という思いを常に持っていました。そして1994年、ついにアブルッツォに帰郷しました。同じ頃、ヴァレンティーノ ショッティとフィリッポ バッカラーロはアブルッツォのワイナリーで働いていましたが、もっとハイレベルのワインを造りたいと考えていました。そして、情熱を持った3人が出会い、ファンティーニを設立しました。「設立当初はお金もなく、エントリーレベルのワインしか造れませんでした。しかし、いいワインを造りたいという情熱だけはありました」とヴァレンティーノは語ります。その頃、世界的に著名なワイン評論家のロバート パーカー Jr.が彼らのワインを飲んで感激し、「車に積めるだけ買いたい」という記事を書いたことで、ワイナリーの名が少しずつ知られるようになりました。そのワインが、エントリーレベルのモンテプルチャーノ ダブルッツォでした。